STACKS’ - american breakfast lunch
さて、3日で回ると言ったものの、すでに3日のうちの1日だけで7つもの記事になってしまった。 最早3日という数字は語感が良かっただけで何の意味も成さないのだが、今から7つの記事タイトルを書き直すのもあれなので、ひとまずここからは形式を変えよう。
以降は私が行ったレストランのうち、「友だちに勧められるレストラン」というテーマを基準にピックアップすることにした。
友だちに勧めるとなると、いっそのこと目ン玉が飛び出るようなトンデモレストランを紹介したいところだが、今回はそうした面白要素を一切排除して紹介するつもりなので安心を。
ところでサンフランシスコにはあまたのレストランがあるので、私がたまたま行ったと言うだけのあるあるランキング形式にするのは心もとない。
ということで、訪問した店を1つ1つ、愛情を込めて紹介することにする。
そのうち気が向いたら店のまとめも記事にしよう。
STACKS’ - american breakfast lunch
早朝、パルアルトの駅周辺でマクドナルドのマックグリドルとホットコーヒーを買って食べながら列車を待っていた。 客は痩せたおじさんと私1人。
カリフォルニアと言えど、2月の朝晩は少し肌寒い。 しかしこの肌寒さこそが、日本人の私に、秋から冬に移ろう時期を思い起こさせて何だかむず痒い。 何故、寒い時期への移ろいはこんなにも切なく甘いのだろうか。
朝マックはなんとなく嬉しくて食べてしまう
友人を全面的に頼りにして訪問したアメリカ。 今日は彼が仕事のため、車社会のこの国で私は列車を使って1日の移動をすることにした。
滞在先のパロアルトからサンフランシスコまで列車で1時間弱。 短い旅である。
アメリカの列車は日本のように綺麗ではなかったが、1階席と2階席に分かれており、また自転車を置くスペースなどもあり便利そうであった。 4人席が向かい合っているところの窓際に腰かけたのだが、斜向かいに座っていた身体の大きいアメリカ人には窮屈そうだ。 車社会と言われるアメリカでも、朝列車を使っている人は案外多く、ほぼ全ての席が埋まっていた。
アメリカの車窓から
サウス・サンフランシスコ駅に着き、道なりに散歩する。 まだ1時間しか経っていないが、朝食はマフィン1つだったため、何か物足りない気がする。 どうせ旅行にに来たのだから何か無いかと、視線をキョロキョロ、鼻をくんくんさせながら道を散策した。
道で犬を散歩しているおじさんは目が会うと挨拶してくれ、How are you? からはじまり Have a good dayに終わる。 日本ではただの「こんにちは」に過ぎないんだろうけど、英語がいい言語だなと思った。
しばらく歩くと、道端に一軒、小洒落た店を見つけた。
パンケーキのようなイラストと、STACKS' AMERICAN BREAKFAST LUNCHと看板には書いてある。 縞々模様の日差しがかわいい。
そういえば、フランス料理や中華料理はどんなものか分かるけど、アメリカ料理って何だろうか。 素人だからハンバーガーかピザしか思い浮かばないが、それをアメリカ料理と言っていいものなのかどうか甚だ疑問である。 では何がアメリカンなのかという好奇心も手伝い、早速中に入ることとした。
店に入ると、新聞を読んでいる肥満体型の男、夫婦で来ている客、中華系のグループなどがまばらに食事をしていた。 店員も若いのから年配のまでバラエティに富んでいる。
朝の光が眩しい
英語のメニューに目が慣れておらず、男にこの店のお勧めを聞いた。 感じの良い固肥りの店員は表情をクルクルと動かし、やれベーグルがうまいだとか、甘いのならパンケーキだ、オムレツはどうかと提案してくる。 しょっぱいものが食べたい気分だったので、アボカドトッピングのオムレツのセットをいただくことにした。
しばし日記を書きながら待つ。
いい匂いと共に運ばれて来たのは、大きな大きなプレートに乗ったオムレツにベーグル、ポテトだった。
ベーグルは表面が焼かれてつやつやしている。 まるで朝露を浴びた葉っぱのようで美しい。 オムレツにはクリームチーズがトッピングされており、中には大好きなアボカドが入っているのかと思うと食指が動く。
ポテトはマッシュしたものにバジルを加え、フライパンで焼いたもののようだ。 フライよりもヘルシーなのだろうか。 添えられたトマトソースはメキシカンよろしく、サルサのように野菜が加えられていた。
こんなに大きなプレートが来るならマクドナルドなんぞでマフィンを頼むのでは無かったと後悔したが、 胃の中に入ってしまったものはしょうがない。 今回の旅ではとことん食べてやるぞ、と腹をくくって食べることにした。
上下半分に切ってあるベーグルからはバターの香りがし、それだけでもう別腹の胃が準備を始める。 そもそもヘルシーが売りのベーグルにカロリーを上乗せするなど一体どういう了見かと思うのだが、これこそアメリカ料理なのではないかと思った。
でもやっぱりバターの香りは芳しく、ついついこのハイカロリーベーグルに手を伸ばさずにいられない。 しかしもはやこれだけでも朝食としては十分なくらいの重さだ。
胃の中がいっぱいにならないうちに、それぞれのおかずに手を出す。
オムレツはふわふわ、中にもクリームチーズというか、ただの卵のオムレツより幾分まろやかな仕上がりになっている。 アボカドは出血大サービス! というほどではないが、まあまあ嬉しい程度には入っており、そこはかとなくおしゃれなオムレツの演出に一役買っている。 ポテトは香ばしく、いくらでも食べられる……と言いたいところだが、やはりマクドナルドが私の胃の底でつかえてなかなか進んでくれていない。 胃は大渋滞である。
お腹がいっぱいになってくると味変をしたくなるのでケチャップを召喚。
フィリピン滞在時にも疑問に思っていたのだが、HEINZのケチャップはなぜ未だにガラスの容器を採用しているのかがわからない。 降っても降ってもなかなか落ちてこない。 せめて逆さに置いておいてくれればすぐ出るというものを、普通に置いていたものだから全然落ちてこない。 1人、旅先で必死にケチャップの便を振る姿がどんなにまぬけか、あなたにはわかるまい。
なぜビンなんだ
これでお会計は$16.3 + チップ。
アメリカのほとんどのレストランは、お会計の下にチップの表記があり、サービスへの満足度具合でチップのレートを客が決めて払う仕組みになっている。 会計をする以上チップは不可避なのだ。 15、18、20%のいずれかを決めてカードでお支払いする。
なんと私の料理のサーバーは天使だった
友人と食べ物をシェアしたときは、どちらかがチップを払って、2人がカードを出し「split(ワリカンで)」と言えば、合計金額の半分ずつを店員が差し引いてくれる。
これは日本ではまだやったことないが、レジの機器を見る限り不可能ではないはずだ。
朝からお腹がいっぱいすぎるほど食べてしまった。
アメリカ人はお腹がいっぱいだと残すようだが、私は日本人。両親の実家が農業を営んでいるということもあり、どうしてもお百姓さんの顔(想像)が思い出されて残せないのだ。 英才教育の賜物である。
支払いを済ませ、店を後にした。
後からわかったことだが、目的地のホテルは2つあり、私の降りるべき駅はもっと先で、重いお腹をさすりながらずいぶん予定外の散歩をしてしまった。 結局後からUberを使って移動したのだが、初めてアメリカで使ったUberの女性運転手が彼女から私に質問する割に返答が「That's good」ばかりで辟易した。 とはいえ、日本語でいうところの「そうなんですね〜」が、英語だとずいぶんポジティブになるものである。
少なくともアメリカ英語はポジティブで、その言語となりが人の性格に影響しているのかもしれないなと思った。