Lazy bear -2
前回
Lazy bear -1
http://noliiiiii.hatenablog.com/entry/2018/09/07/132822
2階のロビーから1階席へと通されると、ここのオーナーがスピーチを始める。 簡単な挨拶と、この店の想いなどなど。 英語初級者の私には早口で全然聞き取れないので、次回以降のスピーチには動画を撮ることにした。
この都度、1品1品がサーブされるごとに別のキッチン担当者がスピーチを行い、その料理の味所(みどころと読んでくれ)を説明してくれる。 大変楽しい。 全然聞き取れない(盲点)。
スピーチの合間、小さな「lazy bear柄」ノートと鉛筆が配られる。 ノートにはコース料理が案内され、メモを取るところも1ページずつ用意されていた。最後のページには「みんなと仲良くなったら連絡先もここに書けるよ」とも。 他の客と。「これじゃあ全パージOMGで埋め尽くされちゃうね」などと話していた。
SPELT & RYE DINNER ROLL
Cultured Butter
このディナーロール、ただじゃおかんぞ。 なんとバターがcultured butter、つまるところ発酵バターで、オーナー曰くバター含め「おかわりしない手はない」とのこと。 うぬが……罪作り。 酸味の効いた、コクのある発酵バターはパン好きにはたまらない味だ。 パンは季節によってあまり変更はなさそうだから、別の時期に行ってもまだ食べられるかもしれない。 「おかわりしない手はない」。
コース料理は最後の盛り付けが目の前のデシャップで行われる。 沢山の料理人たちが入れ替わり立ち替わり、皿にトッピングを載せていた。 客は席を立ってその様子を覗いてもいいし、何なら食材について作業者に質問しても良い。 すごく面白いシステムだ。 たしかに料理しているのを見てもいいとなれば、質問の1つや1つや2つ、してみたくなる。
MANDARIN
Scallop, Carrot, Almond
マンダリンオレンジ、ホタテ、にんじん、アーモンドを使った爽やかな前菜。 見た目にも鮮やかだ。 オレンジとにんじんがホタテのだしを少しまとっており、文化の日本人としては親近感……と言いたいところだが、だしというよりソース要素の方が強かった。 オレンジの風味が濃いソース。 やっぱりアメリカの創作料理は薄くて繊細というよりも、リッチな印象だな。
SUNFLOWER
Sunchoke, Sourdough, Lazy Bear Reserve Caviar by Tsar Nicoulai
Sunflower(ひまわり)というよりSeedling(芽)と形容したくなるような見た目の皿。 中央には惜しみなくキャビアが添えられている。 Sunchokeとは日本で言うと菊芋で、じゃがいものアクがあるような味の芋。 形容が下手か。 でも美味しいです。 よく便秘に良いとか言われて祖父が菊芋カプセルを飲んでいましたが、効果は一向に現れなかった。
それはともかく、この芽がSunflowerなのだろうか。 キャビアは高級食材だけれども氏しょっぱいイメージしかないんだよな〜と思いながら食べたら、そんなにしょっぱいこともなく美味しく食べられた。 でもやっぱり食べなれないから個人的にはいくらとかの方が嬉しい。 せっかくだけど。
HAM & BARLEY BROTH
Fudgy Egg Yolk, Pink Lady Apple, Onion
HAM & BARLEY BROTH、ということでハムと大麦出汁のスープ。 あま〜い黄身が落とされていて、なんだか日本人にとっては結構親近感のある見た目だぞ? ふと見覚えがあるとおもったらあれだ、チ○ンラーメンだ、などとは考えてはいけない。 もっと上品。 ハムと大麦のスープにりんごを合わせるなんて想像もしなかったが、こういうところが創作料理の楽しいところなんだろうなと思った。 とろりとした黄身を潰し、その濃淡をスープのボウル内で調節するのが楽しい。 ここは薄いところ、ここは濃いところ。
MT. LASSEN TROUT AND ROE
Savoy Cabbage, Dill
ラッセン山の鮭といくら。 というと一気に日本感を醸し出す一品。 情緒のかけらもない。 どうやらMt. Lassenとはトラウトサーモンが取れることで有名らしい。
※勘違いしておりましたがトラウトサーモンは鱒のことみたいですね。 こちらのサイトを参照しました。
そもそも鮭と鱒の違いがわからんと思い調べたが明確な違いはないとのこと。 ご指摘あれば随時。 庶民にとっては一緒一緒! 日本ならこの大きさの生サーモンは一口に切られているものを、ドンと置かれるところに西洋ぶりを感じる。 先ほどのキャビアでいくらのほうがいいと思ったのがばれてしまったのだろうか。 それにしても魚卵の多いコースである。
サボイキャベツは普通のキャベツより葉が分厚く味も濃いキャベツ。 ちりめんキャベツとも言われるそう。 まさかソースにするとは! サーモンとディルの組み合わせは鉄板なので鉄板のお味。
さて次は何かな〜と待っている間、盛り付けを見に席を立つ。
写真は次の品AGED DUCKを盛っているいるところ。 勉強になる。 そしてバンダナかわいい。
AGED DUCK
Broccolini, Kumquat
熟成して旨味が増すのはチーズばかりではないことが証明された。 お味は……ムフフ。 控えめに言って最高。
ブロッコリーはわき芽型の、細いブロッコリーを使用。 これ普通に茹でてマヨネーズにつけてもうまいんだよなとか思いながら食べる。 Kumquatは金柑のこと。 金柑の原産は中国と言われているので、キンカンの音がKumquatになったと思われる。 チャーミングな響きだ。 あくまで持論だが、熟成肉には酸味と甘みがよく合う。 肉の深みを酸味で引き出し甘みで強調するというか。
MEYER LEMON
Buttermilk, Pine
どうにも腹が膨れてきたところで、デザートの登場。 ここにきて最初のデザートがレモン風味というところなど大変気が利いている。 口の中をリセットするこの酸味は私の胃に、すばやく次のデザートへの準備を済ませてくれる。 何言ってるかわからんと思うが要は別腹な。
上にかかっているのが冷凍後、乾燥させたパインの粉で、アメリカだからと言って決して怪しい粉ではない。 ああこうしている間にもSnoop Dogが大麻関連事業のVCで$48億もの大金調達に成功して…… (適当)
にしてもマヨネーズといいレモンタルトといい、油と酸味はよく合う。
この後飛行機に乗るということもありここらでハーブティーを注文。
砂時計なんぞ今時カフェでしか見なくなってしまった。 日本に帰ったら私も砂時計を買おうかな、と思ったことを思い出した。 帰国後半年経過、まだ砂時計は家にない。
CANDY CAP
Maple, Cranberry
ケーキ入刀〜ってな具合にスプーンを入れる。 なぜフォークでないのだろう。 ドーナツをスプーンで食べる新体験だ。 お腹いっぱいであろうというタイミングで必ず酸味のものを足してくるあたり、このコース料理の完璧さをことごとく裏付ける……しかもさりげない……
TREATS
コース料理ももう最後。 最後のお楽しみ、ということでデザート4種盛りだ。
GUMMY BEAR
Beet, Blood Orange
ビーツとブラッドオレンジのグミ ベア(HARIBOでおなじみの)
日本で私たちが呼んでいるドイツのグミ、ハリボはアメリカではGUMI BEARと呼ばれていると教えてもらった。 ビーツとブラッドオレンジで風味付けされたこのグミベアはグミというより寒天ぽい……? 可愛くて見た目も楽しい。
MACARON
Toasted Coconut, White Chocolate
トーストしたココナッツとホワイトチョコレートをサンドしたマカロン
ココナッツはほんのちょっとでもその香りが料理に生かされて楽しい。 ゆえに、量と組み合わせに気をつけなければ料理が奇想天外な味になってしまうから難しい。 このマカロンはあま〜いホワイトチョコレートにトーストした、ちょっとほろ苦いココナッツが加わることで相性はばっちし、見た目もユニークだ。
BANANA BREAD
Brown Butter Jam
文字通りバナナブレッド。 なんじゃブラウンバターて!
アメリカの朝のソウルフードとも言えるバナナブレッドをこんな夜に食べるとは思わなんだ。 ブラウンバターとはなんぞ? と思ったが、どうやら焦がしバターのことらしい。 ほんほん。 焦がしバターならこちらもどうぞ。 バターに限らず、焦げは味に深みが出て大変よろしい。
PEANUT BUTTER PEBBLE
Chocolate, Brown Butter
pebbleとは小石のこと。 見た目が確かに小石。 正体はチョコレート!
ピーナッツバターの名にカロリーの4文字が頭をよぎる。 いかんいかんこんな時に。 ピーナッツバターがチョコレートと組み合わさることにより、チョコレートにコクが出る。 アーモンドプードルが組み合わさったチョコレートはたまに見るけどピーナッツバターの発想はなかったな〜。 よくよく考えればチョコレートもカカオバターなんだから、今更ピーナッツバターが加わったところでなんともないわ。
とここで現実。 お会計もオブラートに包まれてる!
最後はみんな写真撮ったり、よかったね〜と喜びあって店を後にする。 既に2階では、本日2組目の客が今か今かと順番を待っていた。 You must have a good dinner guys!!